乗って楽しいか否か それが全て |
2001.6.9 comented by SCENE
いよいよ出てきますね、NEWインテグラ。中でもタイプRは早くからメディアへの露出をはじめ、ほぼ全貌が明らかになってます。 そこで旧型(未だ出てないので現行型?)とのスペック比較を通して、気がついたことを記しておきます。 なお、スペックはプロトタイプのものであるということと、スペックの解釈はあくまで私個人の独断に満ちたものであることを付け加えておきます。 まずは車体から。 |
【ボディ諸元】 | 02M LA-DC5 typeR | 00M GF-DC2 typeR |
全長/全幅/全高(mm) | 4,385/1,725/1,385 | 4,380/1,695/1,330 |
最低地上高(mm) | 130 | 135 |
トレッド(mm) | 1,490 | 1,485/1,480 |
ホイールベース(mm) | 2,570 | ← |
車体重量(ABS・両席SRS有・エアコンレス) | 1,170 | 1,100 |
最小回転半径(m) | 5.7 | ← |
ボディ静剛性 曲げ | +35% | − |
ネジリ | +116% | − |
ボディ動剛性 フロント首振り | +64% | − |
リア曲げ | +78% | − |
ボディサイズは全高以外ほとんど変わりませんが、全幅が1700mmを超えているので言うまでもなく3ナンバーです。 しかし、排気量は2000cc未満なので自動車税は従来通り(\39,500円)、更に「優−低排出ガス」の認定を受けているので、2年間は25%割引の優遇措置で\29,600になります。 全高は従来よりも5センチ以上高くなっているのと、フロントガラス前端が9センチ前進してショートノーズになっているため、印象的にはズングリ見えます。なお、シートの全高に合わせ着座位置も4センチ高くなっているとのこと。 運動性能に直接関わるホイールベースは、モデルチェンジする度に長くなる傾向にある現代のクルマとしては例外的に短く、従来型と同じということで拍手を送りたい部分ですね。 しかし、回転半径はいくら大径サイズのタイヤ&ホイールを履いたからといって相変わらずオデッセイと殆ど変わらない5.7mというのはいただけません。 エンジンのスペック等は早くから予想できていたので、残るポイントは車重でしたが、ほぼ同装備で比べた場合約70kg増で収まったのは立派ではないかと。と、いうのも、従来型があれだけのパフォーマンスを発揮できたのは、メーカーチューンともいうべきエンジンもさることながら、1993年という、今ほど安全基準が厳しくない頃の立ち上げ(ベースのEGシビックは1991年)という古い(失礼!)ボディのおかげで、軽くできたことが最大の要因だと思うのです。 なぜならパワーが上がっても加速にしか効きませんが、軽ければ「走る・曲がる・止まる」の全部に効くからです。 エアコンレスの初代96スペックで1,060kg、公道走行可のジムカーナ車両で900キロ台後半、N1等の競技車両では900キロ台前半と、DC2型はその軽さの恩恵を大いに受けたクルマだと言えますね。 ---高い水準の衝突安全性能を求められるDC5型では、重くなるのは避けられないことはわかっていましたが、上記剛性の大幅な向上と最高水準の衝突安全性能、それにブレーキ&タイヤサイズUP等を考えれば、むしろよく抑えたと言えるんじゃないでしょうか。 |
【エンジン諸元】 | 02M LA-DC5 typeR | 00M GF-DC2 typeR |
エンジン型式 | K20A | B18C |
ボアXストローク(mm) | 86.0X86.0 | 81.0X87.2 |
排気量(cc) | 1998 | 1796 |
圧縮比 | 11.5 | 11.1 |
最高出力(PS/rpm) | 220/8,000 | 200/8,000 |
最大トルク(kg.・m/rpm) | 21.0/7,000 | 19.2/6200 |
インテークバルブ径(φ) | 35 | 33 |
エキゾーストバルブ径(φ) | 30 | 28 |
レヴリミット(rpm) | 8,400 | ← |
REV時ピストンスピード(m/s) | 24.1 | 24.4 |
比出力(PS/L) | 110 | 111 |
パワーウエイトレシオ(kg/PS) | 5.32 | 5.5 |
フライホイール | クロモリ鍛造 | 鋳鉄 |
エンジンはK20A型i-VTEC。今までのB18CはR専用として、カタログ上specRという名前が冠されていましたが、今回は何もなし。 ストリームやステップワゴン用のK20Aと名前の上では見分けがつきません。更にtypeRのステイタス性を大いに高めたであろう手作業によるポート研磨やコンロッドボルト締めはしていないとのこと。それは言いかえれば、そういう手間をかける必要がなくなった、又は工作精度が上がったということでもあります。逆にB18Cは手作業という手間をかけて精度を出さないとパワーが出なかったということですね。 きっとピストンの頂部なんかはツルツルだったりするんでしょう。 なみにS2000用のF20Cも手作業はやってないそうです。 F20Cといえば、同じ排気量で、分割式のシリンダーブロックやチェーン駆動のカムトレイン等、共通点も多く見た目もよく似てますが、どうやら互換性は乏しく、流用チューンで即250PS!というわけにはいかないようです。残念。。まああちらは鍛造ピストンだのコストかかってるし、、、でもいじりたがりとしては流用できるものを探してみたいですね。 しかしこのエンジン、最新のエンジンだけあって、ポテンシャルは相当高そう。少なくとも馬を増やすのに相応のリスクを覚悟せねばならなかったB18Cよりは格段に。 ただ、性能曲線を見ても、明らかにトルクの谷が小さくなってるし乗りやすくなってるのは間違いないでしょうが、ストリームやステップワゴンのK20Aの延長線上にあると考えた場合、音や回転のフィーリングという点ではどうでしょう。 その点に関して雑誌に評論家の国沢さんが面白い表現をしています。曰く「荒削りだが勢いのある新進気鋭の楽団の演奏がB18Cなら、K20Aは完成されたすばらしい楽団の普通の演奏である。どちらが耳に残るかということになると・・・」 おそらく、その通りなんでしょう。しかしその記事を読んでいて、十数年前B16Aが世に出た時のことを思い出しました。 それまでのZCに比べ、確かにパワフルだしスムーズなんだけど、ZCのほうがまさに「荒削りだけど面白い」という印象がありました。 でも面白いもので、B16Aが全盛になりそのフィールに慣れた頃にZCに乗ると、、、「こんなに頭打ちでパワーなかったっけ?」 進化とはそういうものなのかもしれません。 フライホイールは贅沢にもクロモリ鍛造品を奢ってます。外観からは全くわからないし、○○馬力アップ!というパーツでもないので比較的地味な存在ですが、私が初代のRを買ったときに真っ先に換えたのがこのパーツ。回転の上下が実に気持ちよくなります。 パーツ代で4〜5万、ミッション脱着の費用を考えると約10万の出費がかさむことを考えると、ブレンボを含んで車両価格は実質据え置き(ABS+SRS装備の場合)というのはバーゲンプライスだと思いますが、いかがでしょう。 |
【ミッション諸元】 | 02M LA-DC5 typeR | 8400rpm時最高速 | 00M GF-DC2 typeR | 8400rpm時最高速 |
1速変速比(シンクロ) | 3.266 (トリプルコーン) | 63.6km/h | 3.230 (シングルコーン) | 61.4km/h |
2 | 2.130 (トリプルコーン) | 97.5 | 2.105 (ダブルコーン) | 94.3 |
3 | 1.517 (ダブルコーン) | 136.9 | 1.458 (シングルコーン) | 136.1 |
4 | 1.212 (ダブルコーン) | 171.3 | 1.034 (シングルコーン) | 191.9 |
5 | 0.972 (ダブルコーン) | 213.6 | 0.787 (シングルコーン) | 240.1(8000rpm時) |
6 | 0.780 (ダブルコーン) | 253.5(8000rpm時) | − | |
最終減速比 | 4.764 | 4.785 | ||
タイヤサイズ(径:mm) | 215/45-ZR17 (625mm) | 215/45-ZR16 (600mm) |
ミッションはご存知6速、リンケージは従来のロッドではなくワイヤーになっています。シフト剛性を上げてストロークは45mm。
全段10%サイズアップしたマルチコーンシンクロで、特に1&2速はトリプルコーンと、従来ボトルネックになっていた部分はこれで完全に払拭されたといえるでしょう。 ある意味ではDC5typeRの一番のデキはこのミッションなのかもしれません。 変速比は従来型がいろいろな経緯があって、表を見てもわかるとおり3−4速がワイドになっていたのを6速化と共によりクロス化していますね。プロモビデオでタコの動きを見たら、ドライバー(土屋 圭一)の能力もあるでしょうが、その繋がりの良さは感動すら覚えます。 ここで特筆すべきは、前述のように6速化と容量アップを果たしているにもかかわらず、ミッション単体重量が殆ど変わっていないという点。しかし、Rの証であったチタンノブがアルミの削り出しになってしまったのは残念といえば残念。 |
【ブレーキ&サスペンション諸元】 | 02M LA-DC5 typeR | 00M GF-DC2 typeR |
フロントキャリパー | brembo製アルミ対向4ピストン:φ300ディスク | ニッシン製1ピストン:φ282ディスク |
リアブレーキ | 内?製アルミ1ピストン:φ260ディスク | ニッシン製1ピストン:φ240ディスク |
フロントサス形式 | トーコントロールリンク・ストラット | ダブルウイッシュボーン |
リアサス形式 | リアクティブリンク・ダブルウィッシュボーン | ダブルウイッシュボーン |
フロントスプリングレート | 〜4.6k プログレッシブ | 4.5k |
リアスプリングレート | 〜8k プログレッシブ | 〜5.2k プログレッシブ |
今回の売りの一つでもあるブレンボ4ポッドがついにホンダ車に初採用されましたね。ちなみにパッドはフェロードとか。(懐かしい・・) しかもFR共にアルミキャリパーだし、気合入ってます。 冷却ダクトや導風板はついているし、コストのかかるピラータイプのディスクを採用したりと、ブレーキがネックになって、レースでアルテッツァの後塵を拝してるのがよほど悔しかったんでしょうか。 98DC2Rで16→15にインチダウンする人多いですが、今度のDC5は17→16へのダウンは難しいそうです、ハイ。 サスペンション形式はシビック&ストリームと基本的に同じフロント−ストラット、リア−リアクティブリンクDWBですが、いうまでもなくガチガチに固められてます。特にリアの、プログレッシブとはいえ8キロっていうのは尋常じゃないですね。バネレートなんかはトータルバランスで決まるものとはいえ、市販車としては異様に高いバネレートにいきついたセッティングの意図を聞いてみたいもんです。 フロントはDBW→ストラットと、コストダウンのための退化とも取れますが、ステアリングギヤBOXとナックルを結ぶタイロッドの位置を高くしたことにより、ストラットの弱点の一つであるトー変化の大きさは従来のDBW並に抑えられているとの事。フルバンプ時は若干大きいようですが・・・ なお、フロントロアアームはアルミの鍛造品、ハブベアリングやダンパー、ブッシュ類も全て強化し、この価格帯のクルマとしては非常に贅沢な仕様になっていますね。 以上、思いつくままとりとめもなく述べてきましたが、表題の通り「乗って楽しいか否か」でしょう、やっぱり。 今度のRは全国的に試乗車も用意してあるようです。(たぶん) デビューは7月2日・・・ |